720p の動画を 1080p にアップスケールする方法(と、そこで止めるべきとき)
KwaFlux、HandBrake、FFmpeg で 720p の動画を 1080p にアップスケールする方法。具体的な設定、書き出すビットレート、4K まで上げる価値がないときを解説します。
要点
720p の動画を 1080p にアップスケールするには、1280 × 720 から 1920 × 1080 にリサイズし、1080p に合ったビットレートで書き出します。HandBrake や FFmpeg の Lanczos のような従来のスケーラーは無料で、きれいな素材なら問題ありません。
KwaFlux のような AI アップスケーラーが時間をかける価値を発揮するのは、圧縮された、ノイズの多い、または少し甘い素材です。ピクセルを足しながら映像を修復するからです。どちらの方法でも、クリップ全体を書き出す前に 100% 表示で結果を確認してください。
- 1080p のピクセル数は 720p の 2.25 倍(縦横それぞれ 1.5 倍)です。中くらいの飛躍で、そこそこの 720p ソースなら 1080p でもしっかりシャープに見えます。
- アップスケールするのは 1080p のファイルが必要なときです。1080p の編集タイムライン、納品仕様、アップロードなどです。見るだけなら、プレーヤーがすでに拡大しています。
- きれいな 720p なら、Lanczos でのアップスケールで十分なことがよくあります。圧縮された、ノイズの多い、または甘い 720p は、拡大しながら修復する AI アップスケールのほうがはっきりよく見えます。
- 十分なビットレートで書き出してください。YouTube は 1080p の 24〜30 fps で 8 Mbps、48〜60 fps で 12 Mbps を推奨しています。
- 720p のソースが甘い、またはノイズが多いなら、1080p で止めてください。4K まで上げても、ほとんどは問題が拡大されるだけです。
720p から 1080p で何が変わる?
720p HD は 1280 × 720 ピクセルで、1 フレームあたり 921,600 ピクセルです。1080p フル HD は 1920 × 1080 で、2,073,600 ピクセルです。幅と高さは 1.5 倍、ピクセル数は 2.25 倍なので、1080p の各フレームの半分以上をアップスケーラーが作り出す必要があります。
| 項目 | 720p | 1080p |
|---|---|---|
| 解像度 | 1280 × 720 | 1920 × 1080 |
| 1 フレームあたりのピクセル数 | 921,600 | 2,073,600 |
| YouTube SDR アップロードのビットレート、24〜30 fps | 5 Mbps | 8 Mbps |
| YouTube SDR アップロードのビットレート、48〜60 fps | 7.5 Mbps | 12 Mbps |
| x264・x265 での HandBrake の RF 範囲 | 19〜23 | 20〜24 |
新しいピクセルをどう作るかで、結果の見え方が決まります。補間(バイキュービック、Lanczos)は既存のピクセルを混ぜるだけで、ディテールは加えません。AI アップスケールはもっともらしいディテールを予測し、たいていノイズや圧縮による傷みも取り除きます。詳しい比較は AI アップスケールとバイキュービック・Lanczos の比較 をご覧ください。
そもそもアップスケールすべき?
| あなたの状況 | すべきこと |
|---|---|
| 1080p や 4K の画面で見る | 何もしない。プレーヤーが 720p を画面いっぱいに拡大します |
| 他の 1080p クリップと一緒に 1080p のプロジェクトで編集する | アップスケールする。720p のクリップがほかと揃い、並べても見劣りしません |
| 1080p が求められる場所にアップロード・納品する | アップスケールし、1080p のビットレートで書き出す |
| きれいで露出の適正な 720p | Lanczos のアップスケール(HandBrake か FFmpeg)で十分なことが多い |
| 圧縮された、ノイズの多い、または甘い 720p | 修復つきの AI アップスケール(KwaFlux) |
| 4K にしたい 720p | まず 1080p にアップスケールして確認し、それから決める(「1080p で止めるべきとき」を参照) |
補足: HandBrake 自身のドキュメントは、アップスケールは一般には推奨しないとし、役に立つ例として YouTube へのアップロードを挙げています。ディテールを加えずにピクセルだけを足す補間については妥当な助言です。だからこそ、アップスケールは数字の大きさではなく、得られるものの大きさで判断すべきなのです。
方法 1:KwaFlux で 720p を 1080p にアップスケールする(AI)
KwaFlux は 画質修復 の中でアップスケールします。AI モデルが修復とディテールの再構成を行い、書き出し解像度が出力サイズを決めます。
- スマート修復を開きます。 サイドバーで 画質エンハンス に進み、スマート修復 のカードを開きます。スマート修復は各クリップの画質検出結果を読み取り、必要に応じてノイズ除去、シャープ化、色と明るさの調整、アップスケール、顔と細部の修復を組み合わせます。アニメなら代わりに アニメ映像 のカードを、暗い素材なら 夜景・暗所 を使います。
- 720p のクリップを読み込み、画質検出が終わるのを待ちます。
- 出力を設定します。 書き出し設定 を開き、解像度 を 1080p (1920×1080) にします。フレームレート は Auto (Source) のままにします。
- ディテールの多いショットをプレビューします。 顔、文字、木の葉が写ったショットで 1秒プレビュー、3秒プレビュー、5秒プレビュー のいずれかをレンダリングし、前後を比べます。修復前(同サイズ) の基準は、ソースを従来の方法で 1080p に拡大したものなので、単なるリサイズに比べて AI が何を加えたかがわかります。
- コーデックとビットレートを選びます。 H.264 は互換性が最も高い選択肢です。KwaFlux の 1080p の既定は 5 Mbps で、3〜15 Mbps から選べます。YouTube にアップロードするなら、YouTube の推奨に合わせて 24〜30 fps では 8 Mbps 以上、60 fps では 12 Mbps 以上を選んでください。H.265 は、より低いビットレートで同じような見た目になります(既定 3.5 Mbps、2〜10 Mbps)。アーカイブ用や、対応がわかっているプレーヤー向けに使ってください。
- 書き出します。 ジョブはタスクキューで実行されます。複数のクリップを同じ設定で処理するには、メディアパネルでチェックを入れて書き出し対象にします。

ヒント: まず、いちばん動きの激しいショット(速い動き、水、木の葉、紙吹雪など)で 10 秒のテストを書き出してください。そこで持ちこたえれば、クリップの残りも大丈夫です。
方法 2:HandBrake でアップスケールする(無料)
HandBrake は Windows、macOS、Linux で使える無料のオープンソースソフトです。補間を使うので、きれいなソースに向いています。
- 720p のファイルを開き、Fast 1080p30 や HQ 1080p30 Surround など、目的に近いプリセットを選びます。
- Dimensions タブ(HandBrake のドキュメントでいうピクチャー設定のタブ)で Allow upscaling にチェックを入れます。これがないと、HandBrake は出力をソースのサイズ以下に保ちます。チェックを入れても Resolution Limit は適用されます。
- Resolution Limit を 1080p にするか、サイズをカスタムにして 1920 × 1080 を入力します。
- Video タブで Constant Quality を使います。HandBrake は x264・x265 での 1080p に RF 20〜24 を推奨しています。数値が小さいほど高画質でファイルは大きくなります。アップスケールでは RF 20 から始めてください。新しいピクセルを作っておきながら圧縮で消してしまっては意味がないからです。
- Preview で短いクリップをエンコードしてから、Start Encode を押します。
補足: ノイズの多いソースなら、HandBrake の Denoise フィルター(NLMeans、Film チューン)で拡大前に粒状感を減らせます。ドキュメントは強い設定ではディテールが失われると警告しているので、軽めにしてください。
方法 3:FFmpeg でアップスケールする(無料)
FFmpeg ならスケーラーを直接制御できます。Lanczos によるきれいなアップスケールは次のとおりです。
ffmpeg -i input_720p.mp4 -vf "scale=1920:1080:flags=lanczos" -c:v libx264 -crf 18 -preset slow -c:a copy output_1080p.mp4少しノイズがある、または甘いソースなら、拡大前に軽いノイズ除去を、拡大後に穏やかなシャープ化を加えます。
ffmpeg -i input_720p.mp4 -vf "hqdn3d=2,scale=1920:1080:flags=lanczos,unsharp=5:5:0.5" -c:v libx264 -crf 18 -preset slow -c:a copy output_1080p.mp4hqdn3d=2はフィルターの空間方向の強さを既定(4.0)の半分にし、質感を残します。unsharp=5:5:0.5は輝度を既定量(1.0)の半分でシャープにします。FFmpeg のドキュメントでは、妥当な値は -1.5〜1.5 とされています。- ソースが 16:9 でない場合は
scale=-2:1080を使えば、FFmpeg がアスペクト比を保ち、偶数の幅を選びます。 -c:a copyは音声に手を加えずに残します。
結果の確認方法
- 1080p の画面で 100% 表示にして見ます。 縮小されたプレビューでは、甘さやハローが隠れます。
- 顔、文字、細かい質感を確認します。 本物のディテール、ぼけ、作られた質感の違いが最初に現れる場所です。
- 一時停止したフレームだけでなく、動きを見ます。 フレームごとにちらつくディテールは、わずかな甘さより気になります。
- 単純なアップスケールと比べます。 KwaFlux なら 修復前(同サイズ) の基準です。それ以外では Lanczos 版を作り、2 つを並べます。
1080p で止めるべきとき
1440p や 4K まで上げるのは別の判断であり、1080p で止めるのが正解なことはよくあります。
- ソースが甘い、またはノイズが多い。 出力を大きくすると、映像と一緒に問題も拡大されます。まずきれいな 1080p を作りましょう。
- 視聴者がスマホやノートパソコンで見る。 1080p のファイルは小さく、アップロードも速く、そうした画面では見た目も変わりません。
- ファイルサイズが重要。 YouTube が推奨する 4K のビットレートは 24〜30 fps で 35〜45 Mbps と、1080p の 4〜5 倍です。
ソースがよく、目標が大画面なら、4K にする価値があることもあります。動画を 4K にアップスケールする方法 を、ごく小さなソースについては 480p から AI が取り戻せるもの をご覧ください。
よくある問題と対処法
| 問題 | 考えられる原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 結果が甘く見える | 補間はディテールを加えない | AI アップスケールを使うか、軽いシャープ化を加える(unsharp=5:5:0.5) |
| 動きの中でブロックが出る | 書き出しのビットレートが低すぎる | ビットレートを上げる(H.264 の 1080p で 8 Mbps 以上)か、CRF を下げる |
| 映像が引き伸ばされて見える | ソースが 16:9 ではない | アスペクト比を保つ(scale=-2:1080)か、先にクロップする |
| 黒帯が大きくなった | ソースのレターボックスも拡大された | アップスケール前に黒帯をクロップする |
| 顔がろう人形のように見える | とても甘いソースを処理しすぎた | 修復前(同サイズ)の基準と比べる。甘めの結果を受け入れる |
| 出力ファイルがかなり大きい | 2.25 倍のピクセルにはより多くのビットが必要 | 想定どおり。プレーヤーが対応していれば H.265 を使う |
720p の動画が小さいだけでなくぼやけているなら、ぼやけた動画を直す方法 から始めてください。
まとめ
720p から 1080p へのアップスケールは中くらいの飛躍で、ソースがそこそこなら見事な仕上がりになります。きれいな素材には無料の Lanczos アップスケールを、圧縮やノイズのある素材には AI アップスケールを使い、新しいピクセルがエンコードで失われないよう、1080p にふさわしいビットレートで書き出しましょう。
KwaFlux はご自身の GPU でAI動画エンハンサーを実行します。AI 処理はご自身の GPU 上で実行され、メディアファイルが処理のためにアップロードされることはありません。Windows 10(64 ビット、バージョン 1809 以降)、Windows 11、Apple Silicon 搭載の macOS 12 以降で動きます。プレビューにアカウントは不要です。どのクリップでも 1・3・5 秒のプレビューを出せます。ログインと有料プランが必要なのは、書き出し、変換、ファイル修復、リンクからのファイルダウンロードだけです。
ご自身の素材で効果をテスト
KwaFlux を入手し、支払う前に自分の素材で効果を無料プレビュー。アカウント不要、処理はご自身の GPU で行い、メディアはアップロードしません。 動画のプレビューは 1、3、または5 秒、手ぶれ補正のプレビューは 5、15、または30 秒から選べます。
よくある質問
720p を 1080p に変換できますか?
できます。どの動画ツールでも 720p を 1920 × 1080 にリサイズできます。問題は新しいピクセルの作り方です。補間(HandBrake、FFmpeg)は映像を大きくするだけで、AI アップスケール(KwaFlux)はディテールの再構成と圧縮による傷みの除去も行います。
720p を 1080p にアップスケールすると画質は上がりますか?
補間はディテールを加えず、サイズを合わせるだけです。AI アップスケールなら、ソースが記録した範囲内で、720p を 1080p ではっきりシャープかつきれいに見せられます。
1080p にはどのくらいのビットレートを使えばよいですか?
YouTube へのアップロードなら、YouTube は SDR で 24〜30 fps に 8 Mbps、48〜60 fps に 12 Mbps を推奨しています。H.265 なら、より低いビットレートで同じような見た目になります。
720p を 4K にアップスケールする価値はありますか?
ソースがきれいで、動画が大画面で見られる場合に限ります。まず 1080p にアップスケールして確認してください。1080p の結果がすでに甘いなら、4K にしても直りません。
720p は今でも HD ですか?
はい。1280 × 720 は HD、1920 × 1080 はフル HD です。HandBrake のドキュメントでは、720p は一般向けカメラ、Web 動画、テレビのスポーツ中継でよく使われると説明されています。
参考資料
- YouTube Help, "YouTube recommended upload encoding settings" (2026-10-11 閲覧)
- HandBrake Documentation, "Adjusting quality" (RF ranges; 720p and 1080p definitions) (2026-10-11 閲覧)
- HandBrake Documentation, "Resizing Video" (Allow upscaling, Resolution Limit) (2026-10-11 閲覧)
- HandBrake Documentation, "Summary of Filters" (Denoise, NLMeans tunes) (2026-10-11 閲覧)
- FFmpeg Filters Documentation (scale, hqdn3d, unsharp) (2026-10-11 閲覧)